2014年度卒(修士)
K.Sさん
タキイ種苗株式会社
S.Yさん
2010年度卒(学士)
地方公務員
こんにちは。五味研究室卒のS.Yです。
五味研究室に私が分属を決めたのは、植物検疫官になりたかったこともあり、植物病理学を学べることがきっかけでした。
私が分属されたときの研究テーマは「リナロールのイネ病害抵抗性における役割」というものでした。平たく言えば、イネがにおい成分をかぐとイネはどうなるか?という研究です。
「植物には鼻がないのに、なんにもならないだろう」と思うかもしれません。
イネのにおい成分の中にはリナロールという、果物のような香りを持つ物質があります。
リナロール自体にはとくに抗菌性があるわけではありませんが、イネにかがせると、イネの耐病性が上がることを発見しました。また、そのリナロールを過剰に作成する遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えイネの作成を行いました。
五味先生は、正直に言って、初めは「近寄りがたいなぁ」と思っていました。しかし、研究室でお世話になるうちに、先生は一生懸命に取り組んでいる姿勢に、親身になって相談に乗ってくれる方であることが分かりました。また先生は当時、あまり予算もない中、研究に必要なものを特注で作ってくださったり、何度もカビにやられて遅々として進まなかった遺伝子組換えイネの作成にも粘り強く付き合ってくださいました。
私が一番忘れられないのが、修士課程の1年目で、当時、第一志望ではない地方公務員試験に合格したときのことです。そのまま大学に残り、研究を続けながら植物検疫官を目指すか、退学して就職するかでとても迷っていた時に「次、必ず採用されるとは限らないのだから、研究よりも自分の将来を大事にしなさい。」と背中を押してくださったのが先生でした。
今、私は学生時代になりたかった植物検疫官ではなく、地方公務員として仕事をしています。だからといって、五味研究室で過ごした時間が無駄だったとは思いません。目標に向かってあきらめないことや、自分の仕事の成果を相手に伝える力など、五味研究室で培った能力は、どの世界でも必要だからです。また、地元の小学生に大学の研究を体験してもらうイベントを企画し、自治体と大学との橋渡しをするなど、研究室での経験を生かしてできたことも数多くあります。
五味研究室はラボミーティングや論文読解などもあり、けっして「ラクに卒業できる」研究室ではありませんでした。しかし、せっかく進学したのに、学会や研究を経験することなく卒業するのはもったいない!努力の先には、今とちがう景色がひろがっています。
きっと五味研究室で過ごす数年間は皆さんにとって大きな財産になると思います。私がそうであったように…。